楽しみなはずの、誕生日。
わくわくするはずの、誕生日。
でも私は夫と付き合った最初の誕生日からずっと、自分の誕生日が嫌でした。
いつも、「私は夫に愛されていないんだ」と痛感するからです。
大好きだった自分の誕生日が、毎年悲しい気持ちに変わって早約10年。
夫はアスペルガー(診断済み)です。
夫の記憶だけがなくなるようになって、自分の誕生日で悲しく辛い気持ちになることを毎年忘れ、誕生日になって毎回同じ経験をし、「あ~、そういえば忘れてたけど毎年こういう気持ちになっていたんだった」と思い出すのです。
本当はこれを書くのも悲しくなるんですけど、でもこの思いを忘れる前に記しておかないと!と思って書いています。(笑)
アスペルガー夫、プレゼントや誕生日に対する認識
定型発達のプレゼントの定義
定型発達の普通では、大事な人へのプレゼントって特別なものですよね?
少し前から、相手は何が欲しいのかな?とこっそり相手を観察してみたり、好きな気持ちや感謝の気持ちをカタチにして表せるチャンスだし、相手が喜んでくれるかな?とか、びっくりするかな?なんて考えたり、その顔を想像してわくわくしたり。
ましてや、付き合ったばかりの彼女だったら尚更じゃないですか~!?
ところが、アスペルガーの彼は違いました。
最初の誕生日~酷い落胆
付き合って初めての誕生日なのに何もないのです。
ケーキも、特別なレストランも、プレゼントも、カードも、「おめでとう」という言葉さえも…なにもないのです。
後で分かったのですが、夫の家族も誕生日に関して何ら特別な意識を持っていなくて、自分の息子や親にも、「おめでとう」なんて連絡をすることさえしないのです。
衝撃的でした。初めての経験でした。
誕生日当日にデートしてるのに、何もないなんて~!!!(笑)
そして、ついにあまりにも何もしてもらえなくて悲しくなって、「今日、私誕生日なんだけど・・・」と自分から言いました。
「あ、知ってるよ。おめでとう!」とは言ってもらえましたが何もありません。
いじけている私に、「どうしたの?」と本気で不思議そうな顔で何度も聞いてくるので、「…なんか誕生日に何もしてもらえないって初めてで、悲しくなってしまうんだよね。」とやっと口に出したものの、彼は”プレゼントを買わされるのか~!?”という思いが全身からあふれ、言葉でも態度でも表してくるのです。
「え、プレゼント?何が欲しいの?ワガママだなぁ~。」
「ヴィトンの財布?そんな高いやつ欲しいの?え~。」(親に一円もお金を入れていなくて、タダ飯タダ宿家事付きで暮らしていて、彼はお小遣いが30万円以上もあった時代でした。)
「ほらよ、こんな高いの買ってあげたんだから!!!」
「いらないならもったいないから返してくるけど。」
「結局買ってあげたんだからいいじゃんか。」
…誕生日中、ずっと悲しくて、悲しくて、今思い出すだけでも辛くて胸が締め付けられます。
最初のプレゼントだったのに。
何でもよかったけど、「気持ち」が欲しかった。
気持ちがあまりにもなさ過ぎて、せめて高いものと思った。(笑)
でも彼がものすごく恩着せがましすぎて、辛かった。こんな気持ちのこもってないプレゼント、いらないと思った。でも買ってもらわなかったらもっと悲しかった。
全然うれしくないプレゼント。でもそれでもなかったらもう終わりだと思った…
私の誕生日の10日後、彼の誕生日なのですが、私は彼が何が欲しいか、どんなものが喜ぶかって色々考えてたのに、あまりのショックで心がどこかへ行ってしまったような感じになりました。
アスペルガーはプレゼントにその「物」以上の気持ちがない
そもそも、プレゼントをあげる意味や定義が定型発達とは全然違います。
今回も、
「え、何が欲しいの?」
「いくらまで出せるの?俺はひかりちゃんと同じ金額のものをあげるから。」
「1万円でも10万円でもいいけど、同じ金額で俺も欲しいもの探すから。」
と、とにかく同じ金額よこせよを強調していってきます。
何かをしてあげたいという気持ちが皆無で、プレゼントなんてあげたくないという気持ちしか感じ取れないのです。
これで、私のことを好きだというから意味がわかりません…
こんな、義務だからあげるし、10日後同じ金額返してねという悲しいやり取りに落胆し、
ひかり「もういいよ。そんなにあげたくないなら、もうプレゼントはやめよう。」
というと、
夫 「別にあげたくなくないよ。でもひかりちゃんがそういうならいいよ。おれはちゃんと聞いたからね?欲しいものなにかあるのかって。そしたらひかりちゃんがいらないといったんだからね!!!お金も溜まるしラッキーじゃん。」
と言われました。
全身から悲しみの怨念みたいなすごいドロドロのオーラを出して(笑)、顔はもうこれでもか!!って位の苦しい表情をしていたはずですが、言葉だけをそのまま受け止めるアスペルガーの夫がこの悲しい気持ちをわかるはずもないんですけどね。
彼らにとって、プレゼントにその物の価値以上のものなんてないんです。
心とか気持ちとか、そんなものがこの世に存在している事さえ知らないんですよね。
こんだけアスペルガーを理解しようとして、知識を入れても、やっぱり毎年悲しくなるんだから、私もたいがいにしろですけどね。
どうしても、傷ついてしまうし悲しくなってしまう。どうしたらいいんだ~!!!???(笑)
娘を産む直前に私の誕生日だったけど、一切何も無し!
悪阻がこれまで聞いたことない程重かった私ですが、10カ月苦しみ抜いてお腹の中で我が子を育ててきたのに。
もうすぐ赤ちゃん生まれるから、二人でお祝いできるのは最後なのに。
お疲れ様とか、もうすぐ出産頑張ってねとか、最後の二人の誕生日だよとか、どんな意味でもうれしいはずの誕生日なのに!!!!
仕事して夜9時に帰宅した彼は、まさかの手ぶらでした。(笑)
虚しすぎて、悲しすぎて、泣いて泣いて。別れたくて仕方なかったなーあの日は。
彼が誕生日に何もしないのは、普段の日と変わらないからなんでしょうね。
なんら特別な日ではないから。悪事じゃないのはわかってるんだけど、こればっかりは全然慣れないなぁ・・・
そんな、自分の誕生日を祝って祝って!と過剰に言ってる人間ではないんですよ!!!
でも家族に全く何もされないと、誰しもこうなります(笑)
ケーキだけでもいい、でもそこに気持ちはないんだよな・・・あーーー、わけわからなくなる!!!
私は両親にとても愛されていた
夫や夫の両親と知り合って、私ってとてもとても愛されていたんだと感じます。
プレゼントの奥にある、人の温かい気持ち・心を教えてもらえました。
大事な人の笑顔を喜びにできる毎日を教えてくれていました。
思春期だったあの頃、どうして私の家はいつも手作りのケーキばかりなの?貧乏なの?と、悲しくなっていました。
毎日家族でテーブルを囲んで母の作ってくれたたくさん品数のあるご飯を食べ、テレビをつけずに家族でたくさんおしゃべりをし、土日はいつもどこかに旅行に連れて行ってくれていた事が、当たり前ではなかったんだと痛い程わかりました。
そういう意味では、私は彼と結婚して、良かったのかもしれないなと思います。
30年間も”親に愛されていない”と思って苦しんでいたあの頃。
テストの点がいいとお小遣いをもらえた。頭がよくないと愛されないんだと勝手に思い苦しんだ。でもそれってみんな私が始めたことだったじゃない?「テストで100点取ったら1,000円頂戴」と言い始めたのは私。都合のいいところだけ取って記憶して被害者ぶってたけど、私はちゃんと両親に愛されていました。
ルールを破るとめっちゃ怒られたり、なにかとしつけが厳しかったり、何もかも嫌だったけど、全部全部愛されていたんだと知ることができました。
彼の実家では誰も話もしないし、一緒にテーブルを囲むこともない。
みんな自分の話にしか興味が無いし、人の話はあからさまに聞いていない。返事もしない。いつもいがみ合っているし。
誕生日もお金をくれるだけで、ケーキもおめでとうも無かった家。
お金が無いわけではないのに家族旅行も行ったこともないし。
「人に何かしてあげたいと思う気持ちがない事」は慣れるしかないのか?!
これ、私の中で一番心がすさんで暗ーくなる話題なんですけどね。
自分には”喜んで欲しい”と思ってもらえないのに、人にその気持ちを持ち続けることって、不可能じゃないですか?
それができるのは、母だけかもしれない。それすら怪しい(笑)
…そして、結局やっぱり無になるんですよね。
困ったなぁ。
でも、そうなるしかないですよね。いつも悲しくなっちゃうんだからね。
私もしない。だからあなたにも期待しない。これになるしかないんだろーな。
辛いわー。(笑)
してあげたいタイプのアスペルガーは、同じものを送り続けるあるある
こっちのタイプのアスペルガーの方がいいですよね。
彼らの奥さんはそれはそれで悩んでますけど(笑)
「わたし、このアイスすごい好きだわ~!」なんて言おうもんなら、旦那さんは奥さんを喜ばせたい気持ち一心で毎日せっせと同じアイスを買ってくるそうです。
どんなに冷凍庫がいっぱいになろうが、もうやめてって言おうが、彼女を喜ばせたい気持ちが一直線過ぎてこんな現象が起こってるアスペルガーもいるのです。
でも、少なくとも!!!
奥さん本人からしたら心底迷惑かもしれませんけど(笑)、愛は感じますよね。
う~ん、でもどっちも嫌だけどね・・・
おわりに
「やってあげたい気持ち」を感じないどころか、「なるべくやりたくない気持ち」しか感じない誕生日。
「アスペルガーは言えばやってくれるんだから!」という医者。
でも現実は、「言わないとやってもらえない、言っても嫌々やられる」んだから愛されてる実感を持てないし、悲しくなります。
家族ですからね。
1年に1度しかないんだから、頼むよ…
カレンダーのリマインド機能に登録してもやりたくない気持ちには勝てないアスペルガー夫(笑)
私、色々諦めて無にはなってるつもりだけど、「諦めきれてはいないんだな~」と、今年の誕生日もやっぱり再認識しました。
こんな、一主婦の夫から愛を感じられない話を聞いてくださってありがとうございました(笑)
※その後の話はこちらです♪