アスペルガーの記憶力って実際どうなの?
これ、かなりいろんな事言われていて、混乱しますよね(笑)
良いっていう人・悪いっていう人・異常にいいっていう人。
結論から言うと、どの面もアスペルガーの要素です。
つまり、彼等の記憶力はとてもアンバランスな記憶力なのです。
その理由についてまとめてみました。
どの感覚器官から入ってくるかによっても大きく変わる
定型発達の人からしたら、どこから入ってくるかによって違うの?どうして?なんで?!と思う要素なんですけど、アスペルガーの人は当たり前のように感じる違いです。
目から入ってくる情報はとても覚えていられるのに
耳から入ってくる情報はほとんど記憶に残りません。
同じ内容でも、記憶に残る量からしたら全く変わります。
なぜなんでしょうか。
耳から入ってくる情報は集中して聞けない
アスペルガーの夫曰くになりますが、
耳から入ってくる情報はどれもが同じレベルの音に聞こえる
らしいので、脳内で自然と「大事な音」と「気にしなくていい音」の仕訳が出来ないそうです。
私たちが聞こえない・気にならないようなクーラーの音や、車の音と、隣で話している人の声が全く同じレベルで聞こえるということです。
夫はよく、
音が混ざって気持ち悪い
という表現をしますが、別の音楽など、小さな音だったとしても聞こえてくると混乱して具合が悪くなるそうです。
人混みでのいろんな人の話し声や聞こえてくる音にパニックになるのもわかる気がしますよね。
名前を呼ばないと聞こえないのも、このため
アスペルガーと一緒に暮らす妻達や、同じ職場の同僚が感じるストレスの一つに
・名前を呼ばないと返事をしてくれない
・何度も大声で呼ばないと聞こえていない
・それまでの人の話を全然聞いてない
というものがありますが、これもまさしくすべての音が同時に同じレベル(重要度)で聞こえてくる為です。
・・・わかっちゃいるけど、私たちがみんなでテーブルを囲んでお話をしている時、アスペルガー夫は全く関係ない顔をして興味なさそうに非常に失礼な態度をとっています(笑)
そう、見えてしまうんです。
全く聞こえていないんですよね。
不思議なものです。
全てが同じレベルで聞こえてきちゃうので、もう脳が処理しきれなくて全ての音をシャットアウトするんでしょうね。
「あなたにも話していますよ!」とものすごく集中を促さない限り、全然聞いていません。
でもこれまたアスペルガーあるあるなのですが、全然聞いていなかったかのようにしていた夫に「今なんて言ったかわかる?」と聞くと、少し前の会話をオウム返しするかのようにまるでレコードをかけたかのように繰り返すことが出来るのです。
その意味をわかっているかは別にして。
なので、情報が入っていないわけではないのかな?と思ったりします・・・
でも、言語としては聞こえてはいるけどそれを脳内で処理してはいない感覚があります。
聞いていない事は間違いありません。
興味が無いのも確かでしょうが、とにかく聞こえないんだそうです。
目から得た情報はよく覚えている
宅建の資格も、本屋さんで買ってきた本をさささっと読んで受かってしまったし、簿記2級もしかり・・・
遥か昔、何十年も前に読んだ漫画や本の内容まで、さっき読み終えたかのように覚えていてビックリすること多々。
映画やアニメ・ドラマについては空気や表情が読めないので受け取り方が独特でかなり偏りがありますけど(笑)・・・というか意味がわかっていない;
映画などを見て理解できない話はこちらにまとめてあります(魔女の宅急便の名シーンの話はこちら・アメリカンドラマを見ても意味が分からない話はこちら)
・・・なので、もし本当に伝えたい事や苦情(笑)がある場合は、口でいうより、書面やメールやLINEなどで目に見える形にして
簡潔に伝えた方が格段に伝わります。
簡潔!!!←ここも大事(笑)
長々と文章にしても、意味が分からなくなったボーっとしますw
興味があるか、無いか
アスペルガーの特徴として、興味があることは尋常じゃないほど詳しく記憶できるということがあります。
うちの夫の場合は幼少期から恐竜と動物についての興味があり、今もずーっとその記憶は保たれています。
博士級のすごい知識を持っています。
しかし、興味が無い事には記憶倉庫の扉さえ開かない感じで、全く!!!全く!!!記憶することができません(笑)
妻の小言・人がやめて欲しいと思っている事なんていうのは、興味のレベルでいうと一番下にあるものなので、例え毎日10,000回繰り返したとしても覚えられないでしょう。
定型感覚の、悪気がある・なしでいうと無いんでしょうけど、ほんっとに頭に来ます(笑)
なので、1度読めば資格も受かってしまうほど記憶力がいいのに、興味が無い事に関しては恐ろしいレベルで覚えられないので、
貼り紙にしてよく見える場所に貼っておかなければならないのです。
このアンバランス感、意味が分からないですよね。
興味があることに関しては天才的な記憶力という事ばかりがクローズアップされると、「すごい!」と思われがちですが、興味が無い事に関しての記憶力が皆無なので家族が大迷惑するという現実があります。
ここは、なかなか周りの人に理解してもらえない要素ですよね。
人の顔を覚えられない
ネット検索すると、アスペルガーは人の顔をよく覚えていますという記事が上位にあったりしますが、え?!って思います。
いやいやいや、人の顔が覚えられるアスペもいるんでしょうけど、ほとんどのアスペルガーが苦手としている所ですよね。
大体、人自体に興味が無いんですから。
どんなに覚えようと頑張っても、信じられないくらい人の顔を覚えられないのです。
アスペルガーの夫も、グレーゾーンの娘も、未だに何年も付き合いのある人の顔を覚えられないです。
ずっと知ってる人の話をしても、顔とエピソードが一致しないし、そもそも興味が無いし(笑)でその人のデータが蓄積されていかないのです。
これ、定型からすると逆に不思議でたまらない特徴ですよね?
夫や娘の覚え方としては、「何色の服を着ている」とか「こんなリボン」をつけているとか、「こんな髪型の人」という感じで覚えるので、次に会った時にわからないのです。
前に受動型アスペルガーのパートナーについてのアンケートでも同じことを言っていらっしゃる方がいらっしゃいましたね。
爬虫類とか魚の方が違いがよくわからない私としては、なぜそっちは見てすぐ違いが判るのに、人間の顔は判別できないの?と理解に苦しみます。
なので、出会ってすぐあなたの顔を覚えてアピールしてきたアスペルガーのパートナーは、あなたに興味津々なことは間違いないですね。(笑)・・・って何の慰めにもなってないか。
おわりに
一方で、天才的な記憶力。
でも、もう一方で信じられないほど記憶できないという側面もあるアスペルガー。
仕事場などで、興味のない物ばかりをしなくてはならないアスペルガーと接している人からすると、「アスペルガーって全然記憶力ないじゃん!」って思われるでしょうけど
興味津々な部分ばかりを見ている人からすると、「すごいなこの人、やっぱりアスペルガーって記憶力良いんだ!」と思うでしょう。
でも、普段から接していて両方みている妻からすると、「どっちもあの人よね」という感想に。
なので、正解は「どっちもアスペルガーの要素」ということになります(笑)
そして、どちらかというと全然興味を持たれず覚えてもらえない方の夫と日々生活しなくてはならない妻は、ストレスが溜まり続けます…
アンバランスな記憶力を持ったアスペルガーたちと、覚えてもらえない側のストレスを抱えてしまう仕事の仲間やカサンドラたちの事が理解されますように…
今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました。