※この記事は、10月半ばに書き始めたもので、タイムラグがありますがご了承ください><
今(2021年9月18日~12月12日まで)、上野で「ゴッホ展」が開かれています。
先日家族で見に行ってきたのですが、その2週間ほど前に夫が
と、小学生が読むようなゴッホの伝記の本を買ってきてくれました。
それもそうだなと、何の気なしに娘と読み始めて・・・ビックリ!!!!
「ゴッホ」という人は知っていたし、「ひまわり」とか有名な絵を教科書で見たことはあったけど、この人の生い立ちまではこれまで全く知識がありませんでした。
もうね、彼の人生のどこをどう切り取ってもアスペルガーそのものすぎて、まるでゴッホが夫の様に思えて泣けてきてしまって(笑)
彼、生きていくのが大変だっただろうなぁ。
当時アスペルガーなんて言葉もなかっただろうし、周りも理解不能な行動すぎてストレス溜まっただろうし疲れただろうなとか。
色々妄想して他人事じゃなくなって感情移入しまくりました。
小学生が読むような伝記の本だったので、そこまで詳しくは書いていないものの、それだけでも彼の風変りな様子や孤独感は十分伝わりました。
本の中に、こんな一文がありますがまさにうちの義父を見てるかのよう><
「きみはどう考えているんだ。」
ゴッホは、仲間の画家や弟のテオの友達に、だれかれ構わず、大声で話しかけます。早口で自分の事ばかりを話して、気に入らないことがあると、怒ってどこかに行ってしまうのです。
~優しく読めるビジュアル伝記「ゴッホ」より
少なからず発達障害的な要素がある天才的な、何かを成し遂げるような人は、やっぱり凡人ではできないようなことをやり遂げてしまうのかもと感じます。
そしてゴッホの作品を実際に見に行って、とても彼の世界感に引き込まれ少し苦しくなり、不思議な気持ちになりました。
カサンドラの人がゴッホの伝記を読むとめちゃくちゃよくわかると思います(笑)
もしゴッホ展に行かれる方がいらっしゃったら、是非その前に彼の伝記を読んでみることをお勧めします♪
今回は、アスペルガーの妻目線で彼の人生を勝手に解説してみたいと思います。
子供の頃から、対人関係に悩まされる
ゴッホは友達と仲良くすることが出来なくて悩んでいたそうです。
いつも暗い顔をして、ちょっとしたことで、怒ってしまうのです。先生に注意されると、すぐに、かーっとなってしまい、大きな声を上げて、反こうしました。
優しく読めるビジュアル伝記ゴッホ~より
いやいやいや、↑これ、もうカサンドラ妻たちなら即意味が分かるやつねw
だって、私たちの日常ですから><
「いつも暗い顔をして」っていうのは普通の人からするとそう見えてしまうのかもしてないけど、別に彼がいつも暗い顔をしていたわけではないと思うんです。
アスペルガーの特徴として、表情が乏しい・どういう感情の時にどういう表情をしたらいいかわからず、感情と表情とが結びついていないということから、「表情がいつも暗い」と感じられてしまうのでしょうね。
そしてその次!
「ちょっとしたことで怒ってしまう」っていうのも、彼がアスペルガーだと確信してる私にとってその原因は山ほど思い浮かびます。
- 急な予定変更でパニックになって怒ってしまったり
- お友達の行動の意味がわからず怒ってしまったり
- お友達の何でもない言葉も、彼の受け取り方がねじ曲がって悪くとってしまったり
- 表情から感情が読めないから自分だけ暗黙のルールがわからなかったり
- 先生はちょっと注意したつもりでも、彼からするとすべてを否定されたように感じてしまうんですよね。
そして、大きな声を上げて怒鳴るよねぇ。。。
ゴッホは、どうしてみんなと仲良くできないのか、どうしてすぐに怒ってしまうのか、自分でもわからなかったそうです。
・・・そりゃそーだ。
これだけの文章では、ゴッホがアスペルガーだと特定はできません。
でも、一冊読み終えた私はもう確実に彼がアスペルガーだと確信しているので、最初からアスペルガーだとして語らせていただきますね。
僕の好きな人は、きっと僕を好きなはずだ
幼少期からいきなり23歳頃に話が飛びますが・・・
ゴッホは自分が一方的に好きなだけでお付き合いもしていない人(ウージェニー)が、彼が仕事の長期休みに実家へ帰ることを寂しく思うだろうと思い結婚を申し込みます(笑)
当然彼女はビックリして、
「私はあなたと結婚したいと思ったことはないの。それに結婚を約束した人が他にいるのよ。」
とお返事を返したっていう話だったんですけど、私はもうこの辺りを実際読んでる時から「え?え?もしかしてアスペルガーなんじゃ?」って思ってきていました。
きっと、定型発達の人だったら「何となく」の雰囲気や会話の内容や表情でわかったり、探りを入れてみたり、まずは「自分が彼女を好きだ」という告白・意思表示をすると思うんですけど、ゴッホの場合はいきなりプロポーズです♪(笑)
自分がこんなに好きなんだから、相手も好きに違いないと思い込み、疑うことすらしなかったんだろうなと容易に想像できます。
突然告白されて彼女が驚いたとき、ゴッホは照れてるだけだと思ったんですから・・・もうゴッホさん、あなたうちの夫ですか?って突っ込み入れてあげたくなる。
こちらがどんなに嫌がっていても、そうはいってもひかりちゃんは本当は喜んでいるんだとマジで心からそう思って信じている夫と姿がダブります(笑)
空気の読めなさが半端ない><
こんなんで驚いてはいけません、まだまだどんどん濃くなっていきますよ(笑)
引かれる程ストイック!上手に距離を取れないゴッホ
色んな仕事を転々としても、なかなかうまくいかないゴッホは、牧師である父に影響を受けてボリナージュでキリスト教を広める活動をする伝道師になります。
ボリナージュというのはベルギーの炭鉱区域で、とても貧しく、あまりにも厳しい環境だったため、他の伝道師の誰もが行きたがらない場所だったそうです。
ゴッホは彼らを救いたいと本気で思い、自分の衣服や食べ物、給料も毛布もみんなにあげて、労働者と同じ格好をし、教えを説くだけではなく病人のお世話までしたそうです。
身を削って頑張ったのも虚しく、半年後に伝導委員会から「度が過ぎる!」と解雇されてしまいます。
私はこの話を読んで心が震えたし、感動しました。
めちゃくちゃ変わってるし、結果として認めてはもらえなかったけど、彼がどれほど純粋で、一生懸命で、誰もが行きたがらない場所にも行ってストイックに頑張っていたかを想像して心が熱くなってウルウルしましたよ。
うちの夫は無宗教だからわからないけど、アスペルガーが何かの教えを本当に信じて実践しようと決意したとき、そちら世界でも何かを極めるんじゃないか?と思いました。
ちょっと解説とはズレますが、私個人の感覚としては、この時貧しく苦しんでる人々の為に自分を犠牲にしてすべてを投げ打って一心に働いたことが後に彼の作品を広める「徳」か何かになったんじゃないかしら?と感じます。
2度目の突然のプロポーズ、そして嫌がられても追いかける
どうしよう、どこを切り取ってもアスペルガー過ぎてこんなに端折っても終わりそうにない(笑)
ゴッホが27~8歳の頃だと思います。
ゴッホのいとこの「ケー」という7歳年上の女性に恋をしました。
夫に先立たれ、8歳の息子と共に生きていかなくてはならなくなったケーは、いつもゴッホの絵を褒めてくれたそうです。
こんなに頑張っているのに絵が認められず、他人とうまくやることができないから外で働くこともできない。貧乏で余裕がなくて友達もいない、ただ趣味で絵を描いているゴッホの気持ちを想像すると、唯一自分の絵を認めてくれる彼女に思いを寄せるのも頷けます。
またもやゴッホはケーにいきなりプロポーズします(笑)
自分が幸せになる選択=人も幸せなはずだと思うんですよね。
夫に先立たれて傷心してるケーは、もちろん結婚なんて考えられず、プロポーズをお断りして実家に帰ってしまいます。
人の気持ちを思いやることのできないゴッホは、一方的に自分の気持ちを押し付けようとします。
そして彼女の気持ちが理解できず、家族の反対を押し切ってケーの実家まで凸しに行きます><
ケーの父(ゴッホのおじさん)から門前払いを食らうも、ゴッホは引き下がりません。
会えばわかってくれるはずだと、お断りされているのにも関わらず毎晩毎晩めげずにケーの家を訪れました。
そして、ついにおじさんから声を荒げてキレられると、玄関先にあったランプの灯の中に手を入れて、この中に手を入れていられる間だけでいいから会わせてほしい!!と懇願します。
もう、やってることが奇行・いやがらせ・ストーカー以外の何物でもないんですけど、彼にしてみればそれが「愛の証」なのです。
・・・なんだかもう、夫と被り過ぎて泣けてきます(笑)
夫も、嫌がる私を追いかけてストーカーのようでした。
声を殺してアパートで隠れていても、何時間も家の前にいたり。別れたいとお願いすれば自殺をほのめかしてみたり、キレてみたり、大泣きしてみたり・・・
ケーの様に、私から無理やり引きはがしてくれる人がそばにいたら結果は違っていたのかもしれませんw
でも、結局それでもアスペルガーと結婚までしてしまう私たちは、情に流されやすい人・放っておけない人なんだってことですよね・・・
一言で「人の気持ちがわからない障害」と言われると、まぁそんな人もいるよねって思われがちですが、アスペルガーのそれは完全にレベチですからね。
こんなにこんなに大好きなのに、ただそれを分かってもらいたいだけなのに、どうして誰も僕を理解してくれないんだ!!って自暴自棄になってややこしい二次障害へと発展していく人が多いのも、無理ないなと思ってしまいました。
共同生活から逃げ出したゴーギャン
ゴッホは、芸術家たちと共に絵を描いて過ごしたいとアルルに「黄色い家」を借りました。
そこでゴーギャンという穏やかな紳士と一緒に住むことになりますが、最後は激しい言い争いになり、ゴッホがガラスのコップをゴーギャンに投げつけてしまい、怒ったゴーギャンが家を出て行ってしまうというエピソードがあります。
・・・ごめんよ、ゴッホ。
アスペルガー夫と暮らしている私はあなたの気持ちを理解してあげられるつもりだけど、ゴーギャンが耐えられなくなった気持ちの方に共感してしまうし、引き留めるゴッホを振り切って去っていったゴーギャンはすごい!と拍手を送りたくなってしまう。
私は彼らの住んだあの有名な黄色い家の中にいたわけではないからどんなやり取りをしていたのかまではわかりません。でも、何となく想像ついてしまうのです。
絵の意見を言い合ってお互い高めていこう!と始まった事でも、アスペルガーの人にとって「絵のアドバイスや意見」は「俺への否定」と捉えてしまうため、ゴッホは急に大声をあげて怒鳴ったり感情的になったりしてしまったのだと思います。
誰だって、自分の一生懸命描いた絵を否定されたら悲しくなるかもしれませんが、ゴッホがアスペルガーだったとしたらその傷つき方は半端じゃなかったはずです。
言った側の気持ちとは全く裏腹に、言葉の表面だけを受け取り思いっきり捻じ曲がってしかも憎しみ込みで記憶するのでゴーギャンからしたらついていけなかっただろうな。
ゴーギャンが雰囲気をよくしようと言ったちょっとしたジョークなんかも同様(笑)
そんなもの全く通じないし、逆に変に真に受けて余計ややこしくなる。
どうしてもゴッホに直してほしい生活習慣の癖なんかも、10,000回注意しても治らなかっただろうしw
そしていつしかゴッホに敵認定(敵認定についてはこちらにも書いています)されていったんだろうなぁ。
ゴッホの耳切り事件と、アスペルガー夫からの共感
この小学生が読むような簡単な伝記本では耳切事件の事はほんの少し、さら~っと書いてある程度でした。
「は?自分の耳を切り落としたの?意味わからない!どういうこと?」と思ってネットで調べてみたところ、ゴッホは自分の左耳を切り落としてその血だらけの耳たぶの一部を好きだった娼婦に「これを大事に取っておいてほしい」と言って送ったそうな。。。
まさか、小学生の頃から教科書に載っていたかの有名なゴッホがこんな激しい人生を送った人だったとは!!!と衝撃を受けました。
ネットには、酒を飲んで精神錯乱になってやったとか二重人格だったとかいろいろ書いてありましたが、私はあくまでアスペルガーの妻としての考えを書かせていただきます。
これは、実際に合ってるとか間違っているとかではなく、単なる個人的な意見ですのでそう思って読んでくださいますように。
彼は、極度の孤独と、著しい自己肯定感の低下状態にあったと思います。
自分で働いてお金を稼ぐこともできず、弟からいつも仕送りをしてもらわなくてはならない後ろめたさ、それなのに画家としても認められず、友達もできず、彼女も奥さんも出来ず、同居していた画家仲間も怒って出て行ってしまった。
自分は変わっていて誰も理解してくれない。いつも孤独と隣り合わせで生きてきた人生だったでしょう。
娼婦に入れ込んでいたと書かれていた記事もありましたが、ゴッホはその大きすぎる孤独を分かち合える娼婦に出会い、心がほんの少しでも救われていたんじゃないかな?と思います。
そんな彼女に、自分の耳の一部を送って「彼女と共にありたかった」と考えたのではないかと。
夫にその考えを聞いてみたところ・・・
ビンゴ!!
と超共感をいただけましたw
そこ、自分の夫に超共感されてるのすんごい複雑な気持ちですけど、うちの夫のようにアスペルガーの中でもかなり強めな変わり者といると、何となくその感覚がわかるんですよね。
私も一方的に家を出て行ったら夫から耳たぶが送られてきそうで恐ろしい・・・(笑)
気持ちがまっすぐな彼らは、一度「好きーーー!!!!」となると、その愛も情熱的で愛の証をちょっとサイコパスな方法で示したくなるアスペルガーもいるのかもしれないと思いました。
全てのアスペルガーがそういうわけではないので、ここは不思議ですが。
アスペルガーはその熱すぎる情熱をどこに注ぐかによって人生が180度変わるんでしょうね。
おわりに~アスペルガーという発達障害を発見してくれてありがとう
書き始めて思ったことは、「やばい!ほんっとにどこを切り取ってもアスペルガー過ぎて、人生のエピソードを全部書いていたらマジで終わらないわ!!」ってことですw
アスペルガーが発見(?)されたのは、ゴッホが亡くなって50年も後の事です。
当時は謎過ぎて誰も彼を理解できなかったでしょう。
ゴッホは自分がどこかおかしいんだと自分を責めただろうし、いじけただろうし、周りも彼についていけず、本当に孤独だったと思います。
私が夫と出会って苦しみのたうち回ったのは、まさに「夫はアスペルガーだ」と認識する前でした。
この期間は私にとって本当に長く、文字通り毎日泣いていてカサンドラのどん底にいたように思います。
ゴッホや彼の周りにいた人達が、どれほど苦しみ泣いたか、容易に想像できてしまいます;;
ゴッホは最後、ピストルで撃たれて亡くなりました。
自分で打ったのか、何かの銃が誤発砲してしまったのかはわかっていませんと本に書かれていましたが、私は自殺じゃないかな?と思っています。
ゴッホの弟のテオから「家族を養うためのお金が厳しい」という話を聞いて、自分が重荷になってることを知った彼は、唯一人生で最後まで自分を理解して愛してくれた弟に迷惑をかけたくないと思ったのでしょう。
夫がもし同じゴッホと状況だったとすると、きっと同じことをするだろうと思ったからです。
きっと、ゴッホと同じ時代に生まれていたら私も関わりたくはなかった人です。
でも、想像上だけならいいですよね。。。彼の寂しく孤独だった一生を強く抱きしめさせてもらいました。
私、これ打ちながら泣いちゃってます(引かないでください 笑)
同時に、アスペルガーという発達障害があることを世に発表してくれたアスペルガーさん、本当にありがとうと思いました。
特性を理解することで、私を夫への憎しみの感情からほんの少しでも救ってくれたことは間違いありません。
そうはいっても日々ムカつくことはありますが(笑)
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
一つの記事に時間をかけすぎて、ゴッホ展もうあと数日で終わっちゃうという・・・怠け者な私をお許しください><
ひかり